室町幕府内での主導権争い! 足利義政の真意は!! 山名宗全の思惑は!!!
将軍 足利義政は正室 日野富子との間に嫡子がいなかったため後継者として僧侶になっていた弟を還俗させ義視とした。ところがその1年後義政と富子夫妻に義尚が誕生。義政はまず弟の義視に将軍を譲り義尚の成長を待って将軍にするつもりだった。
義政の真意は将軍を退いた後も幕政に影響力を残すことだった。これに細川勝元も異論はなかった。
それは富子にとっても悪い考えではなかった。富子の妹が義視の妻だったからである。だが山名宗全の考えは違った。宗全の思惑でこの先政局は大きな波乱を迎える。
呉座
「宗全は義政を完全に政界から引退させて義視を名実ともに将軍したいと。飾り物の将軍ではなくて義視を正真正銘の将軍にしたいと。義政の院政みたいな形ではなく足利義視政権を作りたいという考えを持っていた。」
呉座
「ただその場合、将軍を支える将軍を補佐する管領をどうするかという問題が出てきます。実は斯波(しば)義廉(よしかど)という人物がおりまして、宗全はこの義廉に娘を嫁がせています。斯波家は管領になれるので宗全は自分の娘婿の斯波を管領にしたいわけです。足利義視を将軍、そして実権は自分という形の政権構想があったわけですね。」
渡邊
「一般的になんですけど、日野富子が自分の息子の義尚を将軍にさせたいから裏でいろいろと画策していたんじゃないかというふうに言われてるんですけれども。」
中野
「ここで富子がいろいろと画策するというのは合理的な選択じゃないような感じがしますよね。特に係累がいる訳なので。係累が権力を握るわけだからそんなコストをかける必要がない。リスクを取る理由がどこにもない。」
中野
「何か画策したら妹の不利になるわけなので。」
呉座
「そうです。むしろそうなんです。妹の立場が悪くなるんで富子は絶対そういうことはやらない。この状況下で動くとすれば宗全だけなんですね。義政さえいなくなれば俺は自由に何でもできると。幕府を牛耳れるということになるので宗全にとっては動く動機があるということになりますね。」
渡邊
「さあ、その畠山家の家督争いに幕府内での主導権争いも絡みましてこの後まさかの事態が起こります。」
つづく。
出演者
【司会】
磯田道史
国際日本文化研究センター 准教授
主な著書に「武士の家計簿」「無私の日本人」など
【出演】
井上章一(建築史家)
著書「京都ぎらい」が話題に
呉座勇一(歴史家)
国際日本文化研究センター 助教
著書「応仁の乱」が40万部に迫るベストセラーに
著書「戦争な日本中世史」など
中野信子(脳科学者)
東日本国際大学教授
人間の行動や思想を脳科学の観点から多角的に分析
著書「サイコパス」など
橋本麻里(美術ライター)
永青文庫副館長
美術番組での解説から高校美術教科書の執筆・編集と幅広く活躍
著書「美術でたどる日本の歴史(全3巻)」など
小谷賢(戦史研究家)
日本大学教授
情報・戦略から見た戦史研究のエキスパート
著書「日本軍のインテリジェンス」など
※2017年7月現在
『英雄たちの選択スペシャル▽まさかの応仁の乱!もうどうにも止まらない11年戦争』より
ここまでお付き合いいただきありがとうございます m__m