なぜ夏のオリンピックはもっと涼しい時期に行わないのか? なぜ開催立候補都市が減ってるのか? それは・・・!!!
オリンピックがどうして儲かるようになったのか。きっかけは1984年のロサンゼルス大会。
ド派手なパフォーマンスで幕を開けたこの大会はこれまでのオリンピックとはやり方を大きく変えた結果およそ500億円の黒字に。
オリンピックがお金を生むようになったのはこの頃からで、どうやって儲かる仕組みを作ったのかというと、それは・・・
税金を一切使わない。
完全民営化に成功したんです。
コスト削減のために選手村は学生寮などすでにある施設を利用。スタッフはボランティアで補い運営資金を稼ぐために大会マスコットを商品化。
そして大きな収入源となったのがスポンサー。
1業種1社に限定してロゴの独占使用を許可しお金を出してもらう。スポンサー料がこれで高騰したということになるんですね。
オリンピックはやり方次第で儲かるということになってどんどん商業化が加速。その結果最近のオリンピックはアスリートファーストのはずがテレビファーストに。
何でこんなことになったのかというと、放映権料が跳ね上がったからなんです。
放映権。つまりオリンピックを中継する権利です。世界中のそれぞれの国の放送局がオリンピック委員会にここで中継させてくださいといってその使用権の権利を買うんですよ。
その放映権料というのが1984年のロサンゼルス大会では約2億8700万ドルそれが2016年のリオデジャネイロ大会では約28億9800万ドルに。
オリンピックの最大の収入源はテレビ局が払う放映権料なんです。中でも1番多く払っているのがアメリカのテレビ局NBCテレビです。
そうしますとアメリカのNBCテレビの都合が優先されNBCの視聴者のためにルールを変更してくれとかいろいろなことが起こるようになってくるんですね。
例えばテレビ映りを意識して青い柔道着を導入。
見ててもどっちがどっちだかわからないから片方は青にしようということに。日本の柔道界は猛反対したんですけど結局テレビ映りを考えて白と青で別れるということになりました。
さらにテレビの放送時間を気にしてルール変更も。
例えばバレーボールやバドミントンのサーブ権の移動が廃止。サーブ権の移動でいつまでたっても点が入らない、テレビの視聴者のことを考えたらもっと簡単にした方がいいということでサーブ権の移動がなくなってしまった。
さらに陸上競技のフライング。かつては1度目は警告だったのですが現在は一発で失格。競技時間を短縮し時間内にテレビ中継を終わらせるためともいわれています。
それからなんといってもアメリカのゴールデンタイムで放送するために競技時間を調整することに。
1988年ソウル大会。陸上男子100m決勝ではアメリカのゴールデンタイムで放送するためにスタート時間を午後8時予定を午後1時半に変更。2008年の北京大会では多くの金メダル獲得が期待されていたアメリカの選手を見せるために水泳全種目の決勝が午前中になったともいわれています。
さらに高視聴率を取れるようにオリンピックは7・8月開催に。
1964年の東京大会って10月に開催されました。秋はスポーツに良いよねということで10月にしたわけなんですが、今はアメリカのNBCテレビに都合のいい7月8月にやってくれということになっており、開催は立候補都市を募集する時点で7月15日から8月31日までの期間でやってくれということが最初から決まっています。
何でアメリカのテレビ局は7月8月開催だと都合がいいのか。
それは7月8月はアメリカのスポーツコンテンツが少ないから。
ここでオリンピックをやれば都合がいいというNBCの都合でこの期間にしてくれということになっているのです。
だからこの暑さの中でやるのかとか今回の大会で言えばマラソンを札幌でやるなんていうのはここに原因があるんですね。
オリンピックやると儲かるとなるとやりたいという都市が増えそうですが、最近は開催したい都市がどんどん減っています。
とにかく夏場にやらなければいけないなんてことになると赤道付近の国々ではどこもオリンピックは開けなくなるわけです。暑すぎて。そして住民の反対運動なども。
2004年のアテネ大会には立候補した都市が11ありました。それがどんどん減ってきてパリ大会では5に。
2024年大会には5つの都市が立候補していたのですが招致合戦の途中で3つの都市が住民の反対運動や財政難を理由に立候補を取り消してしまいました。
残ったパリとロサンゼルスの一騎打ちになったんですが、このままだと立候補する都市がなくなってしまうという危機感もあってIOCは残った2つの都市を次とその次に振り分けて決定したともいわれているのです。
『池上彰のニュースそうだったのか!! いつの間にかこんなに変わってた!? SP』より
ここまでお付き合いいただきありがとうございます m__m