はてなブログProへの道

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各地の城を攻め落とす快進撃を見せる官兵衛 なぜこの行動は成功したのか

 

funa-karui.hatenablog.com

 

次に官兵衛の標的となったのは筑後柳川の立花宗茂

西軍についていたが関ヶ原の戦いの後、領地に逃げ帰っていた。

 

猛将と名高い宗茂が相手だったが、この頃には2人の大名が官兵衛に加担するようになっていた。

 

関ヶ原の戦いの前から官兵衛と連絡を取り合っていた肥後熊本の加藤清正。西軍につきながら関ヶ原の戦いに参戦せず東軍に寝返った肥前鍋島直茂

 

三方から攻め立てられた立花宗茂は降伏せざるを得なかった。

 

関ヶ原の戦いからおよそ1か月。九州の大半を傘下に収めた官兵衛。

残る西軍勢力は薩摩・大隅を治める島津氏のみとなった。

 

杉浦
「ここで関ヶ原の戦い直前の九州の勢力図をちょっと見てみましょうか。こうなっています。」
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「黒田家や加藤清正が東軍ですが、全体的にみると西軍の大名が多いように見えますね。」

 

小谷
「まあ九州はほとんど西軍だといってもいい状況ですよね。更に海を挟んで中国地方も毛利、もちろんこれ西軍の大将でありますので、まあ普通常識的に考えるとこれは西軍につくという判断をするんだと思います。」

「まあしかし官兵衛という人は常に逆張りの思想というか発想がありましてですね、あの、実は播磨にいた時もいきなり織田方につくという判断を下してましてですね、まあ今回もそれで行くかという方針だったと思いますけど。」

「ただ、ちょっと官兵衛も本当の本当に東軍につくつもりだったのかというのは、ちょっと、これは戦の成り行き次第だったというところがあります。」

 

平山
「あの~この九州の勢力図っていうのは結果論なんですよ。で、実際に明確に東についているのがわかっていたのは細川忠興なんですよね。」

「局面が変わったのは先ほど出てきた、大友義統が帰ってきた、ここから九州が大きく動くんですよね。豊後はもともと大友領だったわけですけど大友が改易された後、秀吉がいろんな大名を配置していくわけです。小大名を配置していくわけです。そこに大友義統がやってくるわけですよね。ところがそこは細川の領地なんですよ。もし何かあった時には黒田官兵衛を頼れというように、細川の家臣たちからの援軍要請。細川に頼られるようなそういう事前の打ち合わせはすでにできていると。」

「つまり、これ戦国時代はですね、相手の国をすぐさま平気で攻められると皆さん思いがちなんですけれども、そんなことはなくて正当性がなければ攻められないんですよ。特に正当性が強いのは頼られたから合力をしに行くんだっていうのが・・・だから黒田は頼られるのを待ってたんですよね。待って豊後に介入するんです。その過程でだんだんと東軍加担の方に比重を置くわけですよ。」

「で、加藤清正なんか旗幟をほとんど鮮明にしていないんですよ。繋がってたのは黒田官兵衛とだけで、もし清正が本気で早くから東軍についていたら隣の小西行長領をとっとと攻めればいいんです。ぜんぜん攻めてない。」

 

杉浦
「さあ、そんな状況の中で官兵衛は各地の城を攻め落とす快進撃を見せるわけですけれど、小谷さん、なぜ官兵衛の行動は成功したと考えられますか。」

 

小谷
「あの、まずその、外交調略が上手くいったのが大きいと思います。要はその攻める先はですね小大名しかおりませんし、さらにその小大名も上方に主力を送っておりますのでもうほとんど城は留守番役しかいないということになりまして、まあそれも力攻めするわけでもなくてですね、開城・降伏勧告ですね。要はその城を明け渡せば命はとらないと。兵力を温存しながら相手の城をどんどん落とし、さらに降伏してきた兵をこちらに引き入れてですね、むしろ戦の前よりも後の方が兵が増えているという状況で席けんしていったということですね。」

 

杉浦
「磯田さん、この関ケ原の戦いのときに官兵衛だけがこうして領地を広げようとしていたんですか。官兵衛だけだったんですかね。」

 

磯田
「そうでしょう。こんなことできるのは。ただ者じゃない証拠で、あの、通常の武将ですとこの時に中津防衛戦をうたうんですけど、ところがこの人普通じゃなくて成功の要因でもあったんですけどこれは九州へ乗り出していって、外へ攻めていって領地を取る戦いなんだと位置づけたことなんですよ。」

「つまり銭・金で九千人集めました。中津城を守るといったらお金で雇われて、いやいや黒田家を守るための戦いなんですけれども、ところがこれ雇われた人にとって見るとたいてい土豪に落ちちゃってるような、このままいったら農民として領地がもらえないような人たちに官兵衛は最後の敗者復活戦であることを演説するわけですよね。名演説ですよ。」

「『君たち! タカ狩りにどんないいタカだってタカ狩りを教えるときは最初からツルをとらすかい?』って言うんですよ。『サギからとらせて練習をさせるだろう?大友はサギだよ。あんな弱いサギ練習台だ。これをやっつけて領地を増やせ。』って言うんですよ。」

「これ言われたらですよ、中津城を守るだけだったら黒田の領地は増えないけれど、サギみたいに弱い大友領に攻めていけば俺だって百石か二百石か知らないけれど領主に返り咲けるよな、いいな、行こうってなるわけですよ。やる気ががぜんでる。」

「官兵衛への御奉公ではなくて野望の実現と欲得で人間を引っ張っていく戦に転換できたという。これがやっぱり官兵衛のずるい上手なところなんですよね。」

 

杉浦
「人の気持ちを読んでいたんですね。」

 

磯田
「読んでいたんですね、この人は。」

 

平山
「まあ戦国人ですね。こういう混乱した局面が大好きで、混乱した時にこそ実力が発揮されれる。ぐちゃぐちゃな戦国騒乱。虚々実々の駆け引きとかそのどっぷりど真ん中にいた黒田官兵衛だけがやっぱりちゃんと動けたということなんだろうと思いますね。」

 

磯田
「戦国の混乱になった時の絶対の自信っていうのがあるんですよ、この官兵衛には。他のやつなんかに負けるかと。俺が日本一だというのがあるんですよね。だから死にそうな局面に見えても楽しくてしょうがない。」

 

千田
「本人はどちらかというと本当に領地をとっちゃうっていうよりもですね、なんかこの状況を楽しんでるっていうそういう思いもあったんじゃないかなと思うんですよね。」

「でやっぱり、これ、若いときに秀吉と共にですね天下統一のですね、それを実現してきたっていう、もう一度ああいうそのワクワクした感じみたいなもので、自分の実力を示すと。その思いが突き動かしてたんじゃないかって気はするんですよね。」

 

磯田
「権力が目的じゃないのかもね。ひょっとするとね。戦いそのものが好きなのかもなって気がしますね。」

 

つづく

 

 

出演者

【司会】磯田道史 杉浦友紀

【出演】千田嘉博 小谷賢 平山優

【VTR出演】小和田哲男

【語り】松重豊

 

『英雄たちの選択 戦 「九州 もうひとつの関ケ原~軍師・官兵衛 知られざる野望」』より

 

ここまでお付き合いいただきありがとうございます m__m