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戦乱の世が生んだ最強の兵士サムライ! 傭兵として国外へ!?

勢いづいたオランダはスペインとのさらなる戦いに乗り出します。植民地争奪戦です。舞台となったのは東南アジア。

香辛料の特産地モルッカ諸島海上交通の要マラッカなど重要な貿易拠点の多くはスペインが支配していました。オランダはこのスペインの植民地を奪い取る計画を立てます。

カギとなったのは戦国日本から輸出された驚くべき商品でした

オランダ国立公文書館に日本を出発したオランダ船の積み荷リストが残されていました。火縄銃や槍、日本刀。戦乱の中で性能を高めた日本製の武器は格好の商品でした。

更に武器と共に数多く記されていたのが日本人の名前です。一人一人に細かく給料が定められています。彼らの正体は金で雇われ海外の戦場で戦う傭兵。日本の侍たちがいわば商品として輸出されていたのです。

背景にあったのは日本の戦国時代が幕を閉じたことでした。天下太平の江戸時代が訪れるとそれまで戦をなりわいとした多くのサムライが失業。新たな戦いの場を求めていたのです。

天下統一を目指す戦いが終わった時日本には歴戦のサムライたちが大勢いました。しかし、その力を生かせる場所は日本国内にはありませんでした。

サムライたちは傭兵として続々と海外に向かいました。そこには大きな需要があったからです。サムライを植民地争奪戦に用いたのがオランダです

スペックスのもとに東南アジアの植民地総督から救援要請が届きます。
「スペインとの戦争に投入するため勇敢な日本人を可能な限り送ってくれ。」

スペックスは日本のサムライを一挙に数百人規模で雇い上げようと画策。その実現のため家康との直接交渉に乗り出しました。

オランダから武器を入手し利益を得ていた家康。スペックスの申し出を特別に許可します。
「家康様に日本人傭兵の出国許可を願い出た。とても見事な兵士を届けることができるだろう。」

日本人傭兵を手にしたオランダはスペインが支配するモルッカ諸島に目標を定めます。
モルッカ諸島はスペインの最重要拠点のひとつ。特産品の香辛料は一粒が同じ重さの銀に匹敵すると言われ莫大な利益を生み出す商品でした。

スペインはモルッカ諸島の各所に堅固な要塞を築き防備を固めます。オランダは長年その攻略を試みるも果たせずにいました。この時突破口を切り開くために送り込まれたのが日本人傭兵だったのです。

オランダが立てたモルッカ攻略作戦の記録が残されていました。
まず、軍艦が夜の闇に紛れて要塞に接近し絶え間なく砲撃を加えます。スペイン軍がくぎづけになっている隙に歩兵隊が密かに上陸。夜が明けるとともに敵の死角から一気に攻め入りました。

先陣を切ったのはサムライたち。槍や日本刀による接近戦で敵を切り崩しました。サムライたちの決死の攻撃で要塞は陥落。オランダは勝利を手にしました。

「日本の傭兵はオランダ人以上に勇敢だった。彼らの旗が城壁に最初に掲げられた。スペインをアジアから駆逐するには日本人傭兵が大きな助けとなる。」

長きにわたる戦乱の世が生んだ最強の兵士サムライ。その力を得たオランダはスペインの植民地を次々と奪取。貿易ネットワークを大きく塗り替えました

この後、世界の海を行くヨーロッパの船の実に4分の3にオランダの旗が翻ることになります。オランダは戦国日本と結びつくことで世界の覇権を手にしたのです。

戦国、それは日本と世界が初めて本格的に出会った激動の時代。
戦国武将たちの天下を巡る戦いの背後にはヨーロッパの大国の秘められた思惑がありました。

一方、戦国日本が生み出した銀やサムライもまた世界の歴史を大きく動かしていたのです。

地球規模の歴史から浮かび上がる新たな歴史。そこから私たちが生きる一つにつながった世界の始まりが見えてきます。

つづく

 

NHKスペシャル 戦国~激動の世界と日本(2)「ジャパンシルバーを獲得せよ」』より

 

ここまでお付き合いいただきありがとうございますm__m